2020年教科書採択の今
2020年7月~8月にかけて,2021年4月より4年間使用される中学校教科書の採択が全国各地で行われています。
国立・私立については今のところ私の方で把握しているところはありませんが,公立については8月8日の現時点である程度判明しています。
これまでのところ,育鵬社を採択したのは栃木県大田原市で歴史と公民,宮城県立中学校2校で歴史(公民は不明)で,これらはいずれも従前歴史公民とも育鵬社を採択してきたところです。
新たに育鵬社を採択したところが見当たらない一方で,これまで育鵬社の歴史・公民教科書を採択してきた地区のうち,東京都立学校,大阪府四條畷市,大阪府河内長野市(公民のみ),藤沢市,横浜市(全国最大の採択地区で,ここだけで全国の2.4%程度シェアがあります。)では育鵬社の採択を取りやめました。
名古屋市も一時は育鵬社歴史教科書が採択されるのではとの見通しも示されましたが,最終的には全員一致で他社教科書が採択されました。
子どもと教科書ネット21作成の「2015年育鵬社・自由社教科書採択一覧」を用いて概算してみると…
育鵬社は2015年と比較し,現時点で歴史で32450冊,公民で33550冊,採択部数を減らしていることになります。
仮に2020年の採択で,今後新規採択も取りやめもないとして(つまり今後採択するところは,2015年と同じ選択をするとして),育鵬社のシェアは
歴史6.5%×(73250-32450)/73250=3.6%
公民5.8%×(67485-33550)/67485=2.9%
ということになります。公民はまさに半減です。
大阪市は2015年には単一の採択地区として育鵬社の歴史・公民教科書を採択していたのですが,今回は都構想を反映し(!),4採択地区に分割されているところ,4地区独占を今回維持することは困難とも思われます。
一方でこれまた巨大な採択地区である堺市など採択が危惧される上に,前回もノーマークだった地区で採択される例もあったことから,予断は許されません。
※8月15日加筆。8日以降14日までの間は,2015年の採択結果と同様で,新規採択も取りやめもなかったようです。
今後も情報発信していきたいと思います。(小池)