教育資金の贈与信託
2014-12-24
教育資金の贈与信託がおおむね好評のようです。
2013年の4月から開始されたこの制度ですが,開始からわずか2ヶ月間で大手4行だけで1000億もの資金を集めたとか。
ちなみに,この制度の概要ですが,祖父母等が孫のために教育資金を贈与した場合,贈与つまり信託の時点では非課税にしますが,孫が30歳に達した時に使い切っていない残額がある場合には,その残額について贈与税を課税しようという制度です。
一括贈与の場合,原則からすると贈与の時点で贈与税が課されますが,教育資金に限って課税の時点を遅らせることで,教育投資を促し,消費を刺激しようという制度です。
この制度を利用するに当たって注意しなければならない点は,孫が30歳に達した時点で使い切ってない教育資金があれば,その部分について贈与税が課税されてしまう点です。
一応,信託の上限は1500万ですが,あまりに多額の教育資金を信託しても,使途が限られているために使い切れない額が出てしまうことが予想されるので,500万前後を信託する方が多いようです。
なお,この特例は2015年12月31日までの時限措置ですが,利用者が多いため,もしかすると期限が延長されるかもしれません。
実際,直系尊属から住宅取得のために贈与を受けた場合は一定限度まで非課税とされる措置については,2014年12月31日までとされていますが,国土交通省の方から期限の延長を求める要望が出ています。
教育投資や住宅投資などは消費を刺激し,景気を下支えする効果があるため,消費税増税を迎えて景気の落ち込みが予想される中で,この種の延長は大いに歓迎されるべきでしょう。(志田一馨)