融資を受ける場合の注意点(その2)
2017-06-15
顧問先の会社がABLを設定した後に民事再生を選択する場合、ABLの効力がどうなるかが問題となります。
ABLとはAsset Based Lendingの略で、いわゆる集合債権譲渡担保を言います。
例えば、会社が有している多数の売掛金をまとめて譲渡担保の目的として、融資を受ける場合にこのような方法が取られたりします。
では、会社が民事再生を申し立てた場合、このABLはどうなるでしょうか。
一般的には再生手続開始決定後に発生する売掛債権についても、ABLの効力が及ぶとされているので、再生手続開始決定後に生じた売掛金も担保権者に回収されてしまうこととなります。
そうすると、売掛金が入金する直前に再生を申し立てて、その後に入金された代金を再生資金として利用することが出来なくなってしまうのです。
これを回避するために、会社としては別除権協定を担保権者と締結するという方法があります。
別除権とは再生手続における担保権のことを指し、別除権者は再生手続に乗らずに自身の担保権を実行できるのですが、別除権者と個別の協定を締結することで、これを防止するのです。
また、裁判所は、利害関係人の申立により担保権の実行手続きを中止することができるとされており(民事再生法31条)、この中止命令を活用することも有効でしょう。
いずれにせよ、顧問先がABLで資金調達している場合には注意が必要でしょう。
(弁護士 税理士 志田一馨)
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