「叔母さん。少し寂しそうだった」またはけいすけ君のこと
2016-03-29
東日本大地震で親を亡くした子供が1800人いることを知った。そのうちの一人の物語である。
自分以外の父母兄弟祖母を津波で亡くした当時小学1年生だったけいすけ君がいる。たまたま夫と離婚したばかりで子供のいなかった叔母が、亡くなった義弟の仕事を引き継ぎ、甥っ子のけいすけ君を引き取り育てている。これを5年間カメラはずっと追い続ける。番組終わり頃、卒業式の場面が流れ、叔母はしきりに涙を拭う。よくここまで来たと素直に感心する。けいすけ君は震災当時の叔母さんの印象を問われて、少し寂しそうだったという。確かに叔母さんは離婚したばかりだったから寂びそうだったろう。しかし、一家全員が死んでしまったけいすけ君は寂しいどころの話ではなかったはずである。それでも、そんな風に叔母さんのことをみていた。家族の死を受け入れ、しかも、叔母さんの気持ちを察することのできたけいすけ君の気持ちを考えると胸が詰まった(山森)
以下、番組の紹介である。
3・11大震災シリーズ(73)
ひとりじゃない
ボクとおばちゃんの5年間
5年前の津波で家族全員を失った宮城県石巻市の小学校6年生・けいすけくん。
けいすけくんを引き取り、我が子のように愛情を注ぎ育ててきた子育て未経験の伯母。2人は、ゆっくりと時間を重ねて家族に近づいてきた。年を重ねるごとに少しずつ減っていく会話。成長を喜びながらも、どこかで感じる寂しさ。あれから5年。深い悲しみの中でも、支え合い、前を向いて生きていこうとする家族の姿を追う。
←「またまた無学な話(誠意・到知・格物)」前の記事へ 次の記事へ「「戦時中帝都治安の一線で不惜身命戦いにけり」または「戦争と検閲」(石川達三を読み直す)」→