コミニュティソーシャルワーカー勝部麗子または紛争の究極的解決
豊中市のコミニュティソーシャルワーカー勝部麗子を紹介する番組をみた(NHK「プロフェショナル」)。勝部は以前、周囲を困らせる人は、実は自分自身が困っている人であると看破した人で(朝日新聞記事)、密かに注目していた人である。なるほどすごい。アイディアもさることながら、企画を実行し、周囲を巻き込んでいく説得力・行動力に舌をまく。たとえば、以下の通り。
ゴミ屋敷になってしまい、地域で孤立して人がいる。勝部はその人のために2年間にわたり説得する。のみならず、困った人を助けるための制度をつくってしまう(膨大にかかるはずのゴミ処理費用の補助を制度化したらしい)。そして従来敵対していた近所の人を味方につけてしまう。ここがすごい。多分、地域周辺の人は、当初は困った人危険な人を無害化する限度で勝部の活動に協力したのではないか。しかし、次第に勝部に引き釣り込まれ、ゴミ屋敷の住人のゴミ処理を手伝うに至る。そして、日常的な会話が生まれる。そうなれば、周囲にとって困った人ではなくなるだろう。豊中市40万人のうち8000人がこのような地域ボランティアとして協力しているという。
これはゴミ屋敷を強制的にきれいにする、場合によっては住民を追い出すなということとは異なり、和解してしまうのであるから紛争の究極的な解決である。紛争解決を業としている私などは考え込んでしまう。代理人である私には直ちに勝部のようなスタンスをとることはできないが、もっと膨らみのある解決ができる場合があるのではないか、常に頭の片隅におきたいことである
その他、なるほどと思ったことに
脳梗塞で倒れた人が再起するときに「支援されるとこちらも何か奉仕したいなと思った」。再起しようとした人が、思うようにいかず、アルコールに頼りそうになったときに、勝部が「本人が諦めそうになっているのに、こちらが諦めることはできない」(山森)。