2 調査方法 (1)出発点 (2)原典確認 (3)基本的文書の確認
2021-12-27
「いじめ重大事態調査委員(いわゆる第三者委員)となる方のために」の連載記事です。目次とあわせ,お目通しください。(小池)
2 調査方法
(1)出発点
特殊事例を除き,調査委員会の調査前に,学校や教育委員会による事実の確認(法第23条第2項参照。生徒へのアンケートや聴き取りを含む)が実施されているのが通常でしょう。
そして,これにより得られた資料とその取りまとめ,さらには保護者からの意見書等が初回会合で提出されることが通常と思われます。
まずはこれらにより事案を把握することとなるでしょう。
(2)原典確認
アンケートについてこれをまとめたもののみが資料として提出されている場合等には,原典を確認し,重要な記述を欠落させていないか等,確認する必要があると思います。
生徒の生の筆跡は,それ自体としても感じるものがあると思います。
(3)基本的文書の確認
学校にある会議録,対応の記録,調査の聴き取り記録等については,確認すべきでしょう。
若干補足すると,
職員会議録には,全教員が参加する職員会議のほか,学年会,生徒指導係会,教育相談係会,教科会などの会議録があります。学校では,職員全体で個別的な問題を協議することは少なく(せいぜい報告どまりのことが多い),実質的な協議は学年会等で行うことが通常と思われます。
アンケートは,重大事態等があった場合にとられるものの他,定期的にいじめ等を察知するためにとられるものが存在する可能性があります。
家裁送致された案件については,家裁照会への回答(控)もあるはずです。
これら(2)(3)で挙げた文書は,必要なものはリスト化して事務局に提出を求めるとよいと思います。また,調査の進行次第で再度提出を求めるべきものも出てくることと思われます。
調査委員会への提出は,情報公開や個人情報開示の範囲にとらわれる必要はないはずです。
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