過払金回収の弁護士選び その2

2013-06-06

以前、過払金の回収について小池弁護士も投稿していますが
過払い金回収の弁護士選び)、
私も控訴審で似たような経験をしてきました。

控訴審の裁判長は、貸金業者が提示した和解案に応じようとしない債権者が悪者であるかのように攻め立て、「過払金はさっさと和解すべき」という意見を堂々と述べられたのです。

私は、唖然として返す言葉もありませんでした。

たしかに、第一審で6割しか払わないと言っていた貸金業者が9割払うと言っているのだから、よしとすべきかもしれません。
また、さっさと和解すれば、弁護士が何度も裁判所に行く手間が省けますし、書面を書く必要もなくなり、さらには債権回収の難易度も下がるので、確実に仕事が楽になります。
裁判官も、判決を書く必要がなくなりますから、仕事が楽になります。
貸金業者も、満額支払う必要がなくなりますから、当然、利益があるでしょう。
司法書士は控訴審で代理人になれませんから、控訴される前に和解する利益があるかもしれません。

しかし、冷静に考えると、債権者である依頼者に和解するメリットはあるのでしょうか?
上に述べたメリットは、すべて依頼者以外の誰かが得をする話ではないでしょうか?
判決を取れば満額回収できるのに(しかも、その可能性が高い事案なのに)、なぜ低額で和解する必要があるのでしょうか?

急いで過払金を回収しなければならない事情がなく、依頼者に和解をするメリットもないのに「過払金はさっさと和解すべき」というのは、あまりにも依頼者を軽視しているように思えてなりません。

弁護士ごとに事件処理の方針は様々なので異論もあるでしょうが、少なくとも私は、いったん仕事を引き受けた以上は、依頼者ごとに異なる事情を十分に考慮した上で、可能な限り依頼者の希望を叶えられるように全力を尽くすべきだと考えています。
(川本)

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