相続対策としての生前贈与の注意点

2016-02-21

相続税対策としてよく利用される生前贈与ですが,110万円までは非課税というのは多くの方がご存じだと思います。
ただ,実際の贈与のやり方については,よく分からない方が多いのではないでしょうか。

贈与は民法上,「諾成契約」つまり贈与をする者と受ける者の意思が合致してはじめて成立するものです。

たとえば,祖父母が孫の口座に少しずつ自分の預金を移しても,孫がそれを知らないでいたら契約としては成立してないので,贈与には当たりません。

そのようなお金は,相続が発生したときは,名義は孫ですが実際には亡くなった方の財産,つまり「名義預金」として相続財産として扱われます。

あくまでも,お孫さんが贈与の事実を認識した上で,自由にお金を使える状況になって初めて「贈与」と言えるわけです。贈与契約書を作成しておくことをお勧めします。

なお,税務署に贈与の事実をあえて把握させるために,基礎控除を少しだけ上回る贈与をするのも有効でしょう。
たとえば,120万の贈与をして贈与税を1万円だけ払うということです。
税務署側としても,申告して納税までしているので,あとあとその贈与について文句を言いにくいということになります。

弁護士 税理士 志田一馨

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