医療費控除の範囲について
2016-02-18
個人事業者の方ならば、誰しも一度は医療費控除の適用範囲で悩まれたかと思います。
一般に、ここでいう医療費とは医師による治療の対価でなければならないとされています。
医療費控除の可否が争われた事件として、藤沢メガネ訴訟(横浜地裁平成元年6月28日判決)があります。
これは、私の勤務地である藤沢で起きた事件でありますが、メガネの購入代金が医療費として控除されるかどうかが争われました。
裁判所は、「近視等のために眼鏡等を装用することを前提とした検眼としては、単に屈折異常の程度を計測して眼鏡等による矯正の必要度を判断するのに過ぎず、医師がこれを行う場合であっても眼鏡店における検眼と基本的に異なるものではないと認められるから、検眼それ自体としては医師がその専門的知識、技能及び経験をもって行うべき診療ないし治療とは断定しがたい」として、控除されない旨の判示をしました。
なお、基本通達によれば、レーシック手術は控除されるとしており、裁判例の傾向にも合致しております。
メガネ(コンタクト含む)の使用率が高い現在においては、これにかかる費用を控除対象にした場合の影響をも考慮したのかもしれません。
税理士 弁護士 志田一馨
←「意気に感ず、または「国谷さんはNHKの宝だ」」前の記事へ 次の記事へ「相続対策としての生前贈与の注意点」→