あのとき裁判所は? または、法曹としての矜持
2017-11-03
あのとき裁判所は?宮本元裁判官 再任拒否事件を語る(ひめしゃら法律事務所パンフレットTEL042 548 8675 FAX042 548 8676)が、業界紙の書評で激賞されていたので読んでみました。確かに面白いです。知っているようで知らなかったことばかりでした。しかも、500円(送料別)で安いです。宮本裁判官再任拒否事件の内容は有名なので検索していただければすぐ出てくるので省略します。
読んでいて思わずぎくりとしたのは、例えば、以下のとおりです。
若い人から「裁判官たちが裁判所にいてそういった運動していたら最高裁からいろんな抑圧を受けることはもう目に見えたのに、どうしてそんなことをやったのんですか」と。聞いていて愕然としました。考えてもみなかった。やるのが当然だと思っていました。15p
もうひとつ
(宮本裁判官のことを)気骨のある裁判官であるといった人がいるけれどもそうではなくして再任拒否に抗議する抗議文を、あの時、法律時報に名前が出ただけで592人実際には650人くらいの裁判官が抗議文を出したんです。その当時の裁判官全部の1,850人だから3分の1を超える。それだけの人たちが動いた。中略 それを動かしたのは国民の怒りだと思うのですがその点はぜひ留意してほしいです。28p
法曹(当時はその中でも裁判官)としての矜持を感じます。また、著者の控えめな人柄を尊敬します(山森)。
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