弁護士の選び方
法律事務所のHPをご覧になっている方の中には実際に弁護士を探していらっしゃる方も少なくないと思います。ただ、日本では一生のうちで弁護士に依頼する経験がある方の方が少なく、弁護士という存在もまだ縁遠いように感じます。そこで、実際に弁護士を選ぶには何を基準にして選べばよいのか、弁護士の目から見た「良い弁護士」とはどのような弁護士かという点から、お話をしたいと思います。
皆さん日常的にスーパーやコンビニでお買い物はされるでしょう。
そのときにまず気にするのは値段かと思います。
ご相談に来られる方のお話を伺っていても、弁護士費用を気にされる方が多いように思います。
確かに費用は大きな問題です。しかし、弁護士に依頼されるのは一生に1回あるかないかの大事な場面、スーパーで日用品を買うのとは違い、弁護士費用の安い高いだけで決められるものではないような気がします。
安い費用を掲げる弁護士が悪いというわけではありません。廉価でもしっかりとした仕事をする弁護士はいます。しかし、あまりに廉価である場合、その仕事を誰かに丸投げしていたり、片手間仕事になっていたりする可能性はあるでしょう。一方、高ければ仕事をしっかりしてくれるかというと、そうではなく、同業者から見ても高すぎる金額を掲げている弁護士もおり、たいていそのような弁護士は評判がよろしくなかったりします。
つまるところ、費用の高い安いは弁護士選びの決定的な基準とはなりえないのです。
では、何を基準に弁護士を選べばよいのでしょうか。
それは、あなたにとって不利なことをきちんと説明してくれるかどうかです。
何か物を買う時でも、その商品の欠点をしっかり教えてくれる店員さんは信用できるでしょう。一方でいい点ばかりを強調して購入を進めてくる店員さんは今一つ信用にかけるのではないでしょうか。
弁護士も同じです。依頼者にとって不利な点はきちんと説明をする、むやみに契約を進めるのではなく別の方法も教えてくれる、自分の事務所で契約をした場合のメリットだけでなくデメリットも説明してくれるといった弁護士は信用に足る場合が多いでしょう。
弁護士からみても良い弁護士だなと感じるのは、依頼者に不利な点にきちんと対応をしている場合です。一方で、この先生大丈夫かな、と思う弁護士は、不利な点を顧みずに無理筋な主張を繰り広げる弁護士です(自戒を含めて書かせて頂きますが。)。このような弁護士は、依頼者にも負ける可能性や不利益をきちんと説明することなく、依頼を引き受けている可能性があります(もちろん敗訴可能性をきちんと説明したうえでそれでもという依頼者に応えている場合もあるかとは思いますが、それでもそのような訴訟はご本人のために弁護士が責任をもって止めるべきであると私は思います。)。
自分にとって耳の痛いこと、むやみに契約を進めるのではなくその弁護士にとって利益にならないこともきちんと説明をしてくれるかどうかという点は一つ大きな指標になるでしょう。
また、弁護士に依頼をされる場合は、一回きりの商品の購入とは異なり、ある程度の期間付き合うことが前提となります。
そのため、弁護士との相性も重要になってくるでしょう(どんなに優秀な弁護士でも気が合わないようだとストレスになってしまうでしょう。)。
弁護士と相性が合うかは、実際に話してみないと分からないものです。相談を相談の場としてだけでなく、「お見合い」のような気持ちで利用していただくということも必要でしょう。
人生に一度あるかないかの大事な局面だからこそ、自分にあったよい弁護士を選んで頂ければと思います。(笹田典宏)