相続税対策としての生命保険金の活用
2016-01-30
相続税対策として,ポピュラーなのは生命保険の利用でしょう。
これはどうしてかというと,生命保険の場合,非課税枠というのがあり,法定相続人の数×500万円までが非課税とされます。そこで,たとえば妻と子供が二人の場合,1500万までの生命保険ならば,その部分には相続税は課税されないこととなります。
ところで,相続税対策としての保険の活用を考えた場合,この非課税制度だけでなく,より大胆な視点で保険の活用を考えることも必要でしょう。
上記の非課税制度の利用に加えて,親が子に現金を贈与し,子がそれを原資にして親に保険をかけるということも有効です。
この場合,親の死亡で子に支払われる保険金は一時所得となりますが,一時所得の場合は,得られた保険金から保険料を控除した金額から50万円を控除し,それをさらに半分にした課税標準額に対して所得税が課されますので,長期的な視野で税負担を考えると節税対策になることもあります。
なお,生命保険の非課税制度は,平成25年の税制改正で縮小されることも検討されましたが,結局維持されることになったという経緯があります。
よって,今後については,改正の行方を注意深く見守っていくことが必要でしょう。
弁護士 志田一馨
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