九州大学生体解剖事件または人生はやり直せる
NHKドキュメンタリー「九州大学生体解剖事件」をみていたら、10年以上前に横浜弁護士会でBC級戦犯特別委員会の資料を思い出した。横浜弁護士会はBC級戦犯の裁判が横浜地方裁判所において行われたことに鑑みその記録をするために特別委員会を設置した。その末席にいたことがある。各被告の起訴内容、被告の所属、求刑、判決、弁護人等の記載がある。今再び映像で見ると、一固有名詞にすぎなかった各人が、横浜裁判当時の映画ニュース・写真・事件後の消息・遺族の肉声を知ることができ感慨である。
被告とされた人の遺族が何人も出てくる。少なくとも言及された被告たちは、事件後、受刑後、出所して医師・看護師に復帰し、地域医療に献身的に尽くした人が多い。この事件が心の糧となっていることを知り心が安らぐ。
実際、主導した軍医や教授はともかく、講師、医局員、看護師などは、教授がやるといいだしたらこれに参加しないというのはかなり難しかっただろう。自分がその立場であったら拒否できただろうか。事件後、苦しみながらも概ね平穏な人生を送っていることを知り少し安心する。
人は挫折してもやり直せる(山森)。
以下番組の紹介
ETV特集「“医師の罪”を背負いて~九大生体解剖事件~」
番組HPのURLNHKオンデマンド
放送日
12月12日(土) [Eテレ] 後11:00
出演者ほか
【語り】池田成志
内容
終戦間際の1945年5月から6月、九州帝国大学医学部で米兵の捕虜を使った生体実験がひそかに行われた。墜落したB29の搭乗員8人が、海水を使った代用血液を注入されたり、片方の肺を切除されたりして死亡した、いわゆる「九大生体解剖事件」。医学生として生体実験の現場に立ち会った東野利夫さん(89)は、戦後、福岡市内で産婦人科医院を営みながら、国内外で事件関係者に取材を重ねながら事件と向き合い続けてきた。