間違いのない弁護士選び②-言葉にご用心

2014-08-08

インターネット上の弁護士の広告の中には,いろいろな言葉が踊っています。
その中には,意味のあるもの,少ないもの,誤解を生みやすいものが混ざっています。

今日はそのへんを私なりに解説してみましょう(小池)。

事務所の年数  ○
これは手前味噌になりますが,年数を重ねることができるということは,その間,解散しなければならないほど,あるいは名前を変えなければならないほどの大失敗はなかったということになります。

事務所の規模  △
これは自分たちで強調しておきながら何なのですが,規模自体は大した意味はありません。規模が大きいと,・複数の弁護士でチームを作りやすい,・詳しい人にききやすい,といったメリットがあるのですが,事務所内のコミュニケーションが乏しければこうしたメリットは生じてきません。
ちなみにうちの事務所は、風通しは極めて良好です。

勝訴率 ×
日弁連では勝訴率の広告を禁止しています。
なぜなら,とても誤解を生みやすいからです。
簡単な事件ばかり引き受けて難しい事件を断りまくれば,自然と勝訴率は上がりますが,そうした弁護士と,難しい事件に果敢に挑戦する弁護士と,どちらの技量が上かは一概にはいえないでしょう。
というわけで,勝訴率の広告をしている弁護士はいないと思いますが,万が一存在した場合,日弁連の規定を知らない又は無視している弁護士ということになりますので,いずれにしてもろくなものではありません。

処理件数 △または×
たしかに,処理件数がまだ一桁台ということになると,経験面では不足するかもしれませんが,だからといって,処理件数が百とか千ということで経験豊富とはいえません。
上にも述べたとおり,簡単な事件をたくさんこなせば,件数自体は増えますが,それで経験豊富といえるかというと疑問です。

顧客満足度 ×
おそらく事件終了時にアンケートでもとるのでしょうけれども,この手のアンケートに正直に苦情を書く人は,日本ではまだまだ少数派でしょう。
しかも,弁護士の場合,リピーターはごく少なく,圧倒的多数は一生に一回だけ弁護士に依頼してそれでおしまいでしょう。
そうなると,顧客満足度といっても,他の弁護士との比較で満足度を測定できるわけではありませんので,自動車保険等の顧客満足度とはわけが違います。

報酬額の明示 △
刑事弁護で特に顕著ですが,弁護士報酬について「○円以上」という書き方をせずに「○円」と明示することを売りにしている事務所があります。

しかしながら,うちを含め「○円以上」という書き方をしている事務所の多くは,実際はその下限に近いところで契約することが多く,例外的に難しい事情がある場合にはやや上の金額を契約時に提示させていただいたいるといったところでしょう。

一方,明示を売りにしている事務所の報酬は,率直にいって高いです。あれだけ高い報酬でよいなら,明示しても全く困らないし、多くの弁護士は喜んで受任することでしょう。

さらに問題点は,接見などで追加報酬を請求することです。
いくら接見1回当たりの報酬が明示されていても,接見回数が増えていけばトータルの支払額はどんどん増えていくわけで,1回当たりの金額だけ明示されてもあまり意味のあるものではないでしょう。

ちなみに,私などが刑事事件で着手金等の弁護士報酬を多めに頂戴するのは,接見等で時間がかかることが目に見えている事件です。
この場合,接見回数が増えても,それを含めての着手金ですので,トータルの支払額は見えています。

専門家の自称 ×
これについては前回①で述べたとおりです。

間違いのない弁護士選び①-専門家の探し方


専門家を自称するだけなら誰でもできます。

「○○に強い」 ×
同上

そうなると、何を目安に弁護士を選んだらよいのか、市民の皆さんは困ってしまうことでしょう。
私が「間違いのない弁護士選び①」で書いた内容では、名前が出てくる弁護士は限られてしまいますし…。
そこで、次回は、あらゆる弁護士に適用可能で、しかも市民の皆さんにも実行が可能な方法をお教えいたしましょう。(小池)

 

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