2 文書の保管について

2024-01-05


 諸々の調査事案において、文書が破棄されているということがままあります。
 児童生徒に対するアンケート調査や個々の教員の手控え(教務手帳)など、極めて重要な資料であるにも関わらず、「年度が替わったので破棄した」みたいな話があったりします。
 平時から設置されている調査委員会であれば、初回の顔合わせのときに釘を刺し、可能なら次のような文章を事務局に示して、文書の保管を求めるのはいかがでしょうか。


児童生徒のアンケート、教務手帳等文書の保存について(案)
令和●年●月●日
                      ●市いじめ問題調査委員会
先生方が日頃より児童生徒の人権を擁護し充実した教育活動を実践されていることに敬意を表します。
 さて、いじめ事案の調査に際して、学校における重要な文書、特に児童生徒のアンケートや教務手帳等日常的生徒指導の記録が既に破棄されているケースがままあります。
 こうした事態は、いじめ事案の実態解明、保護者・市民の信頼確保のみならず、学校における継続的生徒指導の観点からも、問題があります。
児童生徒の肉声であるアンケートの重要性はいうまでもありませんが、教務手帳等は先生方が日頃いじめ問題をはじめ様々な課題に御尽力いただいている記録そのものであり、教務手帳等がない場合、たとえば「多数の課題を抱えていた」といった認定が困難となる可能性があります。
 いじめ事案に関連する重要な文書、特に児童生徒のアンケートや教務手帳等日常的生徒指導の記録については、少なくとも当該児童生徒の在籍中は、適切に保存してくださいますようお願いいたします。
 なお、付言しますと、●市の公文書管理条例上も、児童生徒のアンケートはいじめ防止対策推進等のために学校が「組織的に用いる文書」であることは明白ですし、また、教員が個々に生徒指導上の記録をしている手帳であっても、他に日常的な生徒指導上の出来事を記録した文書がなく学校において生徒指導上の問題を協議するに際し不可欠な資料となる以上は、これもまた学校が「組織的に用いる文書」というべきであって、保存を要する文書というべきです。

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