(7)「どうしたいの?」の落とし穴 (8)謝罪の落とし穴
(7)「どうしたいの?」の落とし穴
児童生徒による自己決定の重要性はいうまでもありません。
工藤 これは麴町中学の校長をしている時に考えたことですが、子どもに何かトラブルが起こったときに使う「3つの言葉がけ」があります。
1.「どうしたの?(何か困ったことある?)」
2.「君はどうしたいの?(この後どうしたいの?)」
3.「何を支援してほしいの?(僕にできることはあるかい?)」
という3つのセリフです。この3つはすべて疑問形なので、子どもが自分で考えて自己決定せざるを得ないんです。
(工藤勇一氏の対談記事。小学館HugKum2021.11.12)
一般論として異論はありません。
ただ、「いじめ」被害を訴える児童生徒の場合、傷つきの状況を考慮することなく上記の言葉がけをそのまま行うと、助けてくれない、見捨てられたと感じることがありうることに注意してください。
1と2の間に「つらかったね」の一言をはさむ等、工夫を加えて応用することが必要と思われます。
(8)謝罪の落とし穴
「いじめ」の事実が発覚した場合に、早期の段階で関係児童生徒側から対象児童生徒側に対する謝罪が行われることがあります。
大半の事案はそれでも問題は発生しないかもしれません。
しかし、事態が複雑になるほど、早期の謝罪は行うべきではないと考えます。
すなわち、事態が複雑になるほど、早期の段階では事態の全容はわかりません。
そのような段階で謝罪を受けても、対象児童生徒側としては、何に対するものかわからないのですから、結局のところ、きちんと謝罪を受けたという気持ちにはなりません。
一方、関係児童生徒側としては、謝罪が終了した以上、本件は解決済みと考えることになります。
当然ながら、再度の謝罪を求められても、拒絶する可能性があります。
また、解決済みと考える以上、その後は関係児童生徒に対する指導が浸透しにくくなり、「いじめ」の解決が困難となります。