(2)事案の全体像
2021-12-21
「いじめ重大事態調査委員(いわゆる第三者委員)となる方のために」の連載記事です。目次とあわせ,お目通しください。(小池)
(2)事案の全体像
自死事案が典型ですが,判明している事実を並べただけでは断片的で,事案の全体像が分からないことがあります。
全体像が分からないと,「いじめ」の原因も学校の対応の当否も分かりませんし,再発防止策も抽象的あるいは的外れになってしまいます。
事案の全体像,とりわけ被害本人がどのような人間関係の中に置かれていたか,何故に「行為」があったのかを明らかにしていくことが必要です。
そのためには,聴き取り調査の際に,判明している事実以外に何か気になる事実はなかったか,判明している事実は何故に発生したのか,被害児童生徒の日常の過ごし方はどうだったか等を問うことが必要と思われます。
そうした聴き取りを通じても全体像が把握困難な場合には,専門家集団である調査委員会において,いくつかのケース(もちろん単数でもよい)を想像して,それを基に「いじめ」の原因と問題点の指摘,再発防止策の検討を行うべきでしょう。
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