第6 報告書とりまとめ

2024-01-31


1 何を書くか
 法の要求及び諮問事項を充たすことが基本となるでしょうが、少なくとも、①調査の経過 ②事実認定 ③「いじめ」の認定 ④学校教育委員会の対応の検討、⑤再発防止策といったところは最低限必要でしょう。
 事案によっては、重大事態調査ガイドライン35頁第3節の例の構成では書きにくいこともありうるので、工夫していただければと思います。
 文科省の「いじめ対策に係る事例集」(平成30年9月)や、ネット上に公表されている調査報告書なども参考にしてみてください。
 
2 作成作業の分担
(1)資料を明記
 本文は調査委員間で分担して執筆する場合が多いと思われます。
 取りまとめをする委員としては、他の委員に、どこから引用してきた事実なのか、出典となる資料を明記するよう注意しておく必要があります。
 どこから認定した事実なのか書いておかないと、後でその認定根拠を探すのに一苦労します。
 まずは、資料に番号を付け、これを一覧表にした上で、次のようなお願いを、口頭だけではなく、文字に書かれたもので行うのがよいと思います。
・事実を挙げるときには、資料のどこから引用したのか番号と頁を必ず明記してください
・資料をそのまま引用する場合は「 」を用い、それ以外の場合は「 」を用いずに言及してください
・(表記の統一について)
 調査報告書の完成版において資料の一覧表をつけるか、文中の資料番号・頁を残すかは適宜検討していただければ結構ですが、中途では必須でしょう。

(2)事務局への依頼
 調査委員は議論するだけで、とりまとめは教育委員会事務局が行うという方法は、調査の中立性を害し、あるいは疑念を招きますので、避けるべきです。
 認定、判断の中核部分は調査委員が是非とも作成すべきでしょう。
 しかし、調査報告書作成の全てを調査委員が担うのは現実的ではありません。
ア 校正・表記の統一・体裁の整序
 これについては、事務局に任せて問題ないと思われます。
 膨大な報告書になると、この作業だけで、とてつもなく大変です。
イ 前提部分の起案
 報告書の項目にもよりますが、学校の概要とか調査の経過といった前提部分については、事務局に起案してもらってもよいのではないでしょうか。
ウ 事実認定部分の確認
 事実認定部分について、資料との整合があるかどうかというレベルであれば、事務局に確認してもらってもよいのではないでしょうか。

3 保護者等への中間報告
ア 事実認定部分
 事実認定部分については、誤りを避けるためにも、ある程度まとまった段階で、対象児童生徒の保護者等に中間報告を行い、誤りについて確認してもらったり、今後の調査について希望を聴取するのがよいと思います。
法第28条第2項は「学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。」としていますが、これは最終的な調査結果報告だけでなく、中間報告も含めて考えることができるでしょう。
 保護者との対話は、誤りの回避、調査結果に対する納得感、再調査追加調査の回避という点でも有益と思われますので、是非実施してみてください。
イ 判断部分
 判断部分について中間報告段階で示すかは、場合によると思います。
 判断部分を早期に示して調査委員会が事案を適切に把握していることを保護者等に示した方がよい場合もあるでしょうし、中間報告の段階で事実認定が流動的な場合には判断部分を示すことは困難でしょう。
 後者の場合では、調査報告書が一応完成した段階で、最終確認的に報告を行うことも検討すべきでしょう。

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