第2 調査の前段階 1 調査のための組織

2024-01-04


(1)自治体の規模による差異
 大規模な自治体では、教育委員会の下に調査委員会が常設されていて、調査の諮問前に既に会合などもたれているのではないでしょうか。
 これに対して、小規模な自治体では、予算上、人材確保上の問題からか、調査委員会は常設されていないと思われます。おそらく法第28条第1項の調査は余程のことがなければ学校の下に設けられる組織で行うのではないでしょうか。


(2)教育委員会と学校のいずれの下に設置されるか
 この点については、国の基本指針(33頁。県も同様の記述)は次のとおりです。
・ 学校主体の調査では、重大事態への対処等に必ずしも十分な結果を得られないと学校の設置者が判断する場合
・ 学校の教育活動に支障が生じるおそれがあるような場合

には、学校の設置者において調査を実施する。
 なお、国の「不登校重大事態に関する調査の指針」4頁では、この前者について、
具体的には、例えば、学校と関係する児童生徒の保護者間のトラブルが非常に深刻化しておりもはや関係修復が難しい場合や、大きく報道されているなど、学校の負担が過大で調査を実施することにより学校の教育活動に支障が生じるおそれがあるような場合を指す。
と説明しています。
 神奈川県教育委員会では、保護者の学校に対する不信感が強く調査委員会での調査を希望した案件については、調査委員会での調査を決定しています。
 しかしながら、「疑い」があれば法は重大事態調査を開始するとしている以上、これに忠実に運用すれば、小中学校の場合膨大な件数となるものと思われ、学校に設けられる組織での調査を実施する必要性が大きくなると思われます。

Copyright(C) Shonan-Godo Law Office. All Rights Reserved.