外国人排斥または視点の転換

2014-01-13

NHK「探検バクモン」で外国人の多い東京新宿区の大久保特集をしていた(探検バクモンSPECIAL ニッポン多国籍時代!1月6日放送)。お笑いタレントの爆笑問題がいろいろなところを探検する番組なのであるがこれが実に面白い。現在大久保は3分の1が外国人なんだそうである。最近は外国人排斥のヘイトスピーチ問題で注目されている。
大久保の商店街の会長さんや住んでいる外国人の話には感心した。たとえば、 大久保がこんなに栄えているのは外国人のおかげである。外国人がいて。こんなにありがたいことはない(外国人が来ることによって、地域がこんなに活性化しているのだという指摘にはなるほどと思う)。
東京はもともと地方からきたひとたちが作り上げた街だ。(外国人だからといって排斥するのはそもそもおかしい。そもそも東京はもとをただせば異郷の人間たちのより集まりである)
海外に100万人の在外日本人がいる。海外の日本人がこんなこと(ヘイトスピーチなど)で排斥されたらどう思うのか(在外日本人という視点というの気づかなかった)。
 ヘイトスピーチは倫理的に見てよくないということだけでは弱い。外国人がいることによってこんなにいいことがあるのだということを知ることが大切なのだろう。
 ついでであるが、番組ではまた、ユニークな日本語教室を紹介していた。その中で日本において外国人が有効に謝る方法を考えるというプログラムがあった。摩擦が生じる時にこういったテクニックはきわめて重要である。外国人生徒が様々な流儀で謝り方を披露する。中国人だったか韓国人だったか、食事に誘って謝るという作法には感心した。
 この番組をみて思い出したのは心理学のある研究である。戦争中、捕虜収容所で捕虜に対して虐待行為をした看守としない人の違いはどこにあったかという心理学の研究があるそうである。研究の結果、虐待をした人としない人の違いはたった一つで捕虜と何らかの人間的なつながりがあるか否かであったそうである。捕虜と会話を交わすなりしていた看守は虐待をせず、つながりを持たない看守は虐待をする傾向にあったということである(認知心理学者高野陽太郎)。なるほど、一方で、捕虜が故国に帰れば自分と同じ生活をしている生活者であることがわかれば自ずと自制が働くだろう。他方、何か得体のしれない集団であるということになると、相手のことについて関心が薄れ、物として扱うことになってしまうかもしれない。
 相手方のことをよく知らないと無闇に恐ろしくなる。特に現在上げ潮にある中国・韓国などに対して過剰反応しまいがちである。しかし、文化に違いがあることをふまえて(ここが重要である)知り合うことができれば、無駄な争いもなくなるだろう。
およそ人付き合いが苦手な私も考え直そう(山森)

以下番組のホームページの紹介記事である

異文化のるつぼ「東京都大久保」で知られざる多国籍ワールドに大潜入!これまでコリアンタウンのイメージが強かった大久保だが、いまやその街並みは大きく変貌。インド、中国、タイ、バングラデシュ、チュニジア…3人に1人が外国人という、驚くべき多国籍化タウンなのだ。その現状を知るべく爆笑問題が世界旅行気分で大探検を試みた!ネパールの食品店では、伝統料理「羊の脳」にびっくり仰天。路地裏の雑居ビルの中ではイスラム教のモスクを発見。イスラム教徒が集い敬虔な祈りを捧げる場があったかと思えば、別の路地には、去年秋にできたばかりの、台湾であつく信仰されている女神・媽祖(まそ)をまつる寺院が建っている。神様からくだされた2014年を占う衝撃のお告げに、爆笑問題はがく然!そのほか不動産店から語学学校まで、日本に住む外国人をめぐる最新事情もまるごと突撃取材!日本人と外国人はどうすれば仲良く暮らせるのか?多文化が共生できる時代はやってくるのか。世界中の論客たちと地元日本人を交えて、本音丸出し、オキテ破りの大議論。日本の明日を考える!

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