2ヶ月に1回は帰郷しなければならない、という判決

2013-07-03

2013年7月1日、「家族は、高齢者の精神状態にも配慮して、高齢者を冷遇してはならず、別居している場合には、頻繁に高齢者を訪問し、雇用主は、その訪問のための休暇を保障しなければならない」との条文を盛り込んだ「改正高齢者権益保障法」が施行されました。

そして同日、裁判所は、77歳の女性が娘と娘婿に対して扶養を求めた裁判で、改正法を過去に遡って適用し、経済的な負担に加えて、2ヶ月に1回は帰郷すべきとの判決を下したのです。
さらに判決には、親は強制執行を求められるとの意見も付けられたそうです。

…上記のなんともびっくりな法律と判決は、中国のお話。
急激に少子高齢化が進んだため、高齢者の世話が社会的課題となり、家族に責任分担を促すことを狙って法改正が行われたものです。

ああよかった、日本のことじゃないのね!
と安心した方には、ぜひ自由民主党の憲法改正草案をご一読いただきたいと思います。
その第24条に「家族は、互いに助け合わなければならない」と書かれています。
(※ 現在の日本国憲法には「家族の助け合い義務」を定めた条文はありません)

あれれ?日本でも家族の助け合いが義務化されるの?
将来、日本にも中国と同じような法律ができる可能性があるということ?
それって、憲法や法律で強制することなの?

いろんな疑問がわいてきますが、みなさんはどう思われますか。
中国の例は、いま日本でも議論されている「道徳を憲法に持ち込むべきか否か」という問題の参考になるのではないでしょうか。
(川本)

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