「迅速」(2)熱海市土石流事件訴訟提起に寄せて

2021-10-03

本年7月3日に熱海市で発生した大規模土石流の被災者やご遺族の方々らが本年9月28日、土石流の起点付近にあった盛り土の関係者らを相手取り、損害賠償訴訟を起こしたとの報道がなされました。「受けた被害や置かれた立場も違う70人が、責任の明確化や原因究明、十分な説明を求めて原告に名を連ねた。」とのことです。

https://digital.asahi.com/articles/ASP9Y0196P9XUTPB00V.html

どなたが代理人弁護士として活動しておられるかは存じ上げませんが,極めて迅速です。

私の感覚であれば,おそらく現段階では事案の解明のために意見をもらえる土木の専門家を探すのに右往左往し,訴訟の提起は早くても1年ぐらいは先,原告団の組織も相当に時間はかかるというところです。(決して自慢できることではありませんが,別稿で書いた横浜市立中学校の跳び箱事故の訴訟提起は3年がかりです…)

ところが,上記代理人弁護士は,3か月足らずで原告団を組織して民事訴訟を提起(当然証拠を集めて訴状を書いている=何が過失ないし瑕疵であったかを明確にしている)した上に,刑事告訴までしているというのですから,驚嘆するしかありません。

事故事件に近接し世論の記憶が新しいうちであれば成果が得やすいことは,2008年リーマンショック時の非正規切り事件の際に痛感していたことではありますが,そうした痛感があってすら実際にはなかなか難しいもの。上記代理人弁護士には,心からの敬意を表します。(小池)

Copyright(C) Shonan-Godo Law Office. All Rights Reserved.