萩本欽一または信頼できる大人

2014-12-07

 日経新聞の「私の履歴書」欄に萩本欽一が連載を書いている。コメディアンは初登場なのだそうである。これが、面白い。お金持ちになりたくて、有名なコメディアンの家をわざわざ見に行ったとか大変率直である。実は萩本はあまり好きでなかった。断然好きなのはハナ肇、植木等らのクレージーキャッツである。都会的でしゃれたセンスのクレージーキャッツに比べてみると後から登場したコント55号こと萩本・坂上コンビやドリフターズはどうも田舎っぽく洗練されていないと感じていた。
 それはともかく、何回目かの連載の時、貧乏な高校生の萩本がアルバイト中に不注意で車を傷つけてしまったときのことが載っている。被害者に怒鳴られて事情をはなして謝ったら、怒鳴った被害者が姿勢を正して「自分もアルバイトからはじめて会社を起こした。初心を忘れていた。すまなかった」とかえって謝られる場面がでてくる。その会社の社長さんはその後なにくれとなく萩本を助けたらしい。これはなかなかできる話ではない。私が被害者ならこんなに寛容になれたか。謝られても、怒りが納まらなかったような気がする。このような人が市井にいることによって、萩本は育てられたのだろう。また、信頼できる大人がいることによって子供は社会を信頼することができるようになるのだろう。さて、自分は信頼できる大人だろうか、考える(山森)。

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