羊頭狗肉か、いや、そうでもない、「今考えなければならないこと 原発と震災後をみすえて」

2013-07-08

長い間、評論家加藤周一の発言に注目してきました。加藤が亡くなってからも、加藤ならどう考えるのだろうかなどと思うことがあります。そんなとき加藤の雑談集「今考えなければならないこと 原発と震災後をみすえて」(岩波ブックレット)が発刊されました。加藤は福島原発事故についてどう考えているのか、興味を持って読んでみました。すると唖然としたことに加藤は2008年に死んでいました(もう、5年経過してしまった)。震災は2011年ですから、加藤は福島原発事故を知るはずがありません。副題の原発と震災は、福島原発事故のことを示すものではありませんでした。一杯食わされたと思いながら読んでみると、「高度経済成長がはじまって、戦争が終わったというような、過去のものとするような風潮がみられたのです。あれだけの戦争をしておいて」
「戦後責任 いまでも続いている部分がある」
「抽象的な目標設定(世界平和)は具体的な目標実現(アジアの緊張緩和)を妨げる側面がある。
「黒人に対する差別を黙って聞いていることは、友人を裏切る気がした」
加藤らしい言葉に心の琴線に触れるものがありました。まったく、あれだけの原発事故がありながら、既に過去のものになったかのような雰囲気の今日この頃、加藤の言葉は未来を見通しているような気がしました(山森)。

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