女がすたるまたは米原万里のこと

2013-11-21

佐高信と佐藤優の対談を読んでいたら以下の文章にであった(世界と闘う読書術p256。佐藤の博覧強記さには驚嘆した)。

2002年外務省の佐藤優を東京地検が逮捕することを週刊現代がスクープ(というか露払い?)したところ、米原万里が、食事をしないかと佐藤に誘いの電話をかけてきた。米原はマスコミの前に自分の姿をさらすことによって、佐藤に対する大パッシングの防波堤になろうとしたのである。米原は佐藤を信頼しているから身体を張って、それを示そうとした(対談で引用されている「ユリイカ」米原万里特集)。それを知った佐高信は、同じことが自分にできるか米原から問われた様な気がしたという。

この文章を読み、期せずして、「女がすたる」という言葉を思い出した。これは社会運動家の堺利彦の妻が、堺の先妻の幼い子供を他家に預けておいては獄中の堺に対して申し訳ないとして働きながら子どもを自分の手で育てた時の話である。文脈はまったく異なり、関係もないがともに意気に感じる話である。米原はその後病気になり2006年死去した。56歳だった。                                          山森

追記 正確には「女がすたる」ではなく、「女の顔がたたない」であった(「パンとペン 社会主義者堺利彦と売文社の闘い」 黒岩比佐子)

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