サヘルローズまたは広大なひまわり畑のこと

2013-12-30

イラン人で女優のサヘル・ローズがイランイラク戦争で空襲にあった家族の唯一の生き残りであることを知った(NHK旅のチカラ「失われた故郷の記憶を求めて~サヘル・ローズ イラン~」12月30日)。救援に来ていた女子大生に助けられ、児童養護施設に預けられ数年後、助けてくれた女子大生の養子になった。女子大生は孤児である彼女を養子にしたことで上流階級の親から勘当され、生活に窮し、紆余曲折があり来日した。その後も平穏ではなかったが彼女は女優になった。養母は「みな死んだなかであなただけ生き残ったのは何か意味があるのだろう」と彼女に言い聞せた。彼女はまた自分のために様々なものを棄てた養母のことを考え、誰かのためにいきることを考えている。
番組をみていて遠い中東の内戦報道が急にみじかなものに思えてきた。少し前、シリアを空爆するかどうかということでかなり議論があった。空爆にさらされる地帯に無数のサヘルローズの家族がいるのかと思うと見方が全然違ってくる。ともすれば、戦争は昔のことと思いがちであるが、現在進行形であった。
また、話は飛ぶが、サヘルローズの話を聞いて、映画ひまわりを思い出した。ソフィアローレンとマルチェロマストロヤンニ演じる夫婦が戦争で離別を余儀なくされる物語である。映画の最後の場面で、広大なひまわり畑を主人公のソフィアローレンと案内のソ連人将校?が歩く場面があった。将校は、何年か前、このひまわり畑で激戦があり、多くの人が死んだことを説明する。膨大なひまわりの一つ一つが映画の物語のような平凡な家族の悲劇を象徴しているようで、何気ないひまわり畑が違って見えたものだ。
 
以下番組の紹介である
TVや舞台で人気のイラン人女優、サヘル・ローズ(27歳)。幼い頃、イラン・イラク戦争の空爆で家族を失ったサヘルはがれきの下から救い出してくれた女性を養母として7歳で日本にやってきた。今、活躍の一方で、自分を根なし草のように感じて自信が持てないという。そのサヘルがこの春、自分の原点を確かめるために故郷イランへ。記憶をたどりかつて自分が過ごした場所を訪れる中で見えてきた意外な事実と新たな思いとは?

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