「私たちは絶望の淵にたたされている」またはNHKスペシャル「消えた弁護士たち 中国法治社会の現実」

2018-07-24

「私たちは絶望の淵にたたされている。でも生きていくしかありません。どんなに苦痛にみちても、どんなに怒り頭がおかしくなろうとも、どんなに心細くても乗り越えて生きていくかないのです」(李文足 中国律師王全璋の妻)
 王全璋は、中国のいわゆる人権派弁護士である。たとえば国に土地を強制執行された依頼者のために国を訴えることも辞さない。経済成長で中間層が成長している中国において、市民と連携して政府の横暴と戦う人権派弁護士は中国政府にとって脅威の存在と映るらしく、3年くらい前、人権派弁護士は一網打尽にされた(709事件)王全璋はその一人である。3年くらい勾留されて理由も告げられず裁判もない。同時代に起こっている心胆寒からしめる大事件である。王全璋を知り、戦前の布施辰治のことを思い出した。布施は弁護活動の逸脱を理由に弁護士資格を剥奪されている。
 妻の李文足は身柄の解放のためにあらゆる手を尽くす。横暴で意地悪な政府協力派にも屈しない。しかし、時に弱気になることもある。李文足がんばれ(山森)。
(それにしてもインターネット時代である。李文足・王全璋と検索するとたちどころにFACE BOOKや動画が出てくる)。
以下、NHKの番組紹介である。
中国“法治”社会の現実 2018年7月22日(日)午後9時00分~9時49分 経済成長とともに、人々の権利意識が高まる中国。習近平指導部は発足以来「法治」の徹底を掲げ、法に基づいて人々の利害の対立を処理し、社会の安定を図ろうとしている。その一方で、共産党支配に悪影響を与えるとみなされた人々への締め付けはかつてなく強まっているとも指摘されている。番組では、習近平指導部が推進する「法治」の現場を取材。そこから浮かび上がる中国社会の光と影を見つめる。

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